診療支援
治療

【13】眼瞼下垂
ptosis
稲福 徹也
(稲福内科医院・院長)

症候を診るポイント

●まれではあるが生命にかかわる脳動脈瘤による動眼神経麻痺を見逃さず脳神経外科へ送る.

●比較的よくある重症筋無力症を適切に診断して脳神経内科医へコンサルト.

●よくある腱膜性眼瞼下垂を正しく診断し手術適応を考える.

▼定義

 正面を向いたときに片側または両側の上眼瞼縁が瞳孔の上まで十分に上がっていない状態をさす.指標として眼瞼裂(palpebral fissure:PF)や眼瞼縁角膜反射距離(margin reflex distance-1:MRD-1)(図1-22)を測定すると客観性がある.わかりやすい指標として,上眼瞼縁が瞳孔にかかっていれば明らかな眼瞼下垂とする.

▼病態生理

 眼瞼下垂は上眼瞼を支える筋肉や神経の機能不全で生じる.上眼瞼を支える筋肉は2つ,1つは横紋筋の上眼瞼挙筋で動眼神経(Ⅲ)支配,もう1つは平滑筋のMüller(ミュラー)筋で交感神経支配である.一方筋肉

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