診療支援
治療

1 肺結核症
pulmonary tuberculosis
長谷川 直樹
(慶應義塾大学教授・感染症学)

疾患を疑うポイント

●非腫瘍性呼吸器疾患では必ず鑑別に挙げる.特に高齢者.

●2週間以上続く咳嗽,発熱,体重減少,寝汗などに留意.

●呼吸器症状のない例もある.

学びのポイント

●空気感染する.その対策を理解する.

●感染者の10~15%が発病.

●画像検査だけで肺結核の診断は不可能.喀痰の抗酸菌検査が必須.

●結核菌を検出したら必ず薬剤感受性を実施する.

●感染症法上,診断したらただちに保健所に届け出る義務がある.

●治療には多剤併用療法を用いる.

●薬剤感受性により使用薬剤と治療期間は決まる.

▼定義

 結核菌(Mycobacterium tuberculosis)により引き起こされる呼吸器感染症.

▼病態(図2-9)

 結核症の感染様式は空気感染である.肺に侵入した結核菌は肺胞マクロファージに貪食される.貪食された結核菌が肺胞マクロファージで完全に殺菌されれば感染は成立しないが,そうでない場合には感染が成立する

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