診療支援
治療

3 放射線肺臓炎
radiation pneumonitis
小倉 高志
(神奈川県立循環器呼吸器病センター・副院長)

疾患を疑うポイント

●放射線治療終了1~3か月後に出現する,照射野に一致したすりガラス様陰影,境界明瞭な浸潤影を認めた場合に疑う.ただし,治療終了直後にも出現する場合もある.

学びのポイント

●癌の治療中は易感染性であり感染症や,癌自体の再発が放射線肺臓炎との鑑別になる.

●定位照射など照射法の進歩があり頻度が低くなるが,照射部位が複雑になるため,放射線治療計画での照射範囲の確認が必要である.

▼定義

 胸部への放射線治療の有害事象として起こる肺の炎症である.肺の炎症は放射線肺臓炎と放射線肺線維症に分類されるが,前者は急性期で後者は慢性期としての一連の経時的変化と考えられる.

▼病態

 放射線肺臓炎は放射線治療終了後1か月以内にも出現することがあるが,一般には1~3か月で出現して,3~4か月で著明になる.急性期の場合には間質の浮腫・炎症,肺胞上皮細胞の障害,肺胞マクロファージの活性化が発現する.慢性期には

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