診療支援
治療

2 慢性血栓塞栓性肺高血圧症
chronic thromboembolic pulmonary hypertension(CTEPH)
巽 浩一郎
(千葉大学特任教授・呼吸器内科)

疾患を疑うポイント

●明らかな肺疾患(慢性閉塞性肺疾患,間質性肺疾患など),左心系疾患(虚血性心疾患,弁膜症などによる左心不全)などの存在がないのに,労作時呼吸困難が持続する場合にCTEPHを疑う.

学びのポイント

●治療としては,外科手術(PEA),BPA,薬物療法(肺血管拡張薬)が挙げられる.

▼定義

 器質化した血栓により肺動脈が慢性的に閉塞(狭窄)を起こし,肺高血圧症を合併したもの.

▼病態

 CTEPHには過去に急性肺血栓塞栓症を示唆する症状が認められる反復型と,明らかな症状のないまま病態の進行がみられる潜伏型がある.

 血管閉塞の程度が肺高血圧症の成立要因として重要で,多くの症例では40%以上の血管閉塞を認めるが,肺血管の閉塞率と肺血管抵抗の相関は強くない.その理由として,閉塞率は胸部造影画像から比較的太い血管病変の閉塞を測定しているものの,画像所見ではとらえにくい肺血管病変がCTEPHの成立

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