診療支援
治療

【1】睡眠呼吸障害と肺胞低換気
sleep disordered breathings and alveolar hypoventilation
陳 和夫
(京都大学大学院特定教授・呼吸管理睡眠制御学)

疾患を疑うポイント

●充足感のない睡眠,十分な睡眠時間後でも残る疲労感,日中の過度の眠気,不眠.

●習慣性いびき,ベッドパートナーによる睡眠時無呼吸の発見.

●治療反応性が乏しい高血圧,糖尿病,心房細動.

学びのポイント

●睡眠呼吸障害には,閉塞性・中枢性睡眠時無呼吸,睡眠関連低換気などがある.

●閉塞性睡眠時無呼吸は頻度が高く,3大要因は肥満,加齢,男性であるが,東洋人はそもそも顔面形態が閉塞性睡眠時無呼吸になりやすい.高血圧,心房細動,糖尿病患者の数割以上にみられる.

●中枢性睡眠時無呼吸はまれであるが,心不全,脳卒中後などにみられやすい.

●睡眠関連低換気は肺胞低換気,高度の低肺機能,神経筋疾患,呼吸調節異常でみられ,日中の高二酸化炭素血症患者でみられやすい.

▼定義

 睡眠にはNREM(non-rapid eye movement)睡眠とREM睡眠がある.NREM睡眠は浅睡眠であるステージ1,2期と深睡眠である3,4期に分類される.睡眠中には(肺胞)換気量は覚醒時に比し低下しており,正常人でも覚醒時に比し1割程度のPaCO2値の上昇と肺胞低換気に伴うPaO2値の低下を伴っている.睡眠中には,低酸素,高二酸化炭素血症に対する換気応答が鈍麻するので呼吸異常は増悪するのが通常である.

 睡眠障害の国際分類(International Classification of Sleep Disorders:ICSD)第3版では睡眠障害は60種類以上あるが,睡眠関連呼吸障害(sleep related breathing disorders:SRBD)あるいは睡眠呼吸障害(sleep disordered breathings:SDB)は17種類あり(表2-37),重要な領域となっており,主な睡眠呼吸障害には閉塞性睡眠時無呼吸,中枢性睡眠時無呼吸,睡眠関連低換気がある.短期覚醒などを起こさず,日中の

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