診療支援
治療

4 肺胞微石症
pulmonary alveolar microlithiasis
萩原 弘一
(自治医科大学教授・内科学講座呼吸器内科学部門)

▼定義

 肺胞微石症は,常染色体性劣性遺伝形式をとる稀少疾患であり,Ⅱb型ナトリウム依存性リン運搬遺伝子(SLC34A2)の機能喪失が原因である.世界で1,000例が報告されている.同胞発生が約半数.男女差はない.

 個々の肺胞内にリン酸カルシウムを主成分とする微石が生じ,次第に肺胞壁に慢性炎症,線維化が生じる.小児期は無症状で,偶然の胸部X線写真で発見される.呼吸機能は長期間保たれるが,中年以降徐々に呼吸不全となる.

▼病態

 微石の蓄積した肺は硬く重い.肺灰組織切片では,肺胞内に層状構造を有する微石が認められる(図2-65)SLC34A2はⅡ型肺胞上皮細胞特異的に発現し,肺胞内からリンイオンを除去する.機能障害により,肺胞内リンイオン濃度が上昇,カルシウムと結合し,微石を生じる.病変は肺のみに出現する.

▼疫学

 常染色体性劣性遺伝疾患であり,患者家系内にはしばしば近親婚が確認される.一般集団

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