診療支援
治療

2 大動脈解離
aortic dissection
室原 豊明
(名古屋大学大学院教授・循環器内科学)

▼定義

 「大動脈壁が中膜のレベルで2層に剝離し,動脈走行にそってある長さをもち2腔になった状態」で,大動脈壁内に血流もしくは血腫が存在する.大動脈解離におけるフラップは,通常1~数個の裂口をもつが,裂口が不明で真腔と偽腔の交通がみられない例も存在する.前者を偽腔開存型大動脈解離といい,後者を偽腔閉塞型大動脈解離という.

▼病態・分類

 大動脈解離は,発症直後から動的な病態を呈する.また広範囲の血管に病変が伸展するため障害される部位により種々の病態を示す(図3-113).血管の状態を,拡張,破裂,狭窄または閉塞と分け,さらに解離の生じている部位との組み合わせでとらえると,多様な病態を理解しやすい(表3-48)

 解離の範囲からみた分類には,Stanford分類とDeBakey分類がある(図3-114).前者は入口部の位置にかかわらず,解離が上行大動脈に及んでいるか否かで,A型とB型に分けて

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