▼定義
四肢筋膜より深部の静脈に発生した血栓症のことをさし,それより中枢側に位置する骨盤内または胸腔内における静脈,つまり腸骨静脈,下大静脈,腕頭静脈,上大静脈内の血栓症も含む.
▼病態
Virchow(ウィルヒョウ)の三原則として知られる①静脈の内皮障害,②血液の凝固亢進,③静脈の血流停滞のいずれかにより血栓形成が促進される.血栓による静脈閉塞のため還流障害をきたし,末梢側にうっ滞症状をもたらす.さらに新鮮血栓は遊離しやすく,肺動脈内に流入することで肺血栓塞栓症を引き起こす.静脈内にいったん生じた血栓は線溶系により完全に溶解されるか,または器質化・退縮し残存する.血栓が消退した場合でも,血栓が生じた際に惹起された炎症などにより,静脈弁は障害され,うっ滞症状を呈する血栓後症候群(post-thrombotic syndrome:PTS)をきたすことがある.
▼疫学
診断率の向上,高齢者の増加,