▼定義
慢性的な下肢静脈の機能不全により表在静脈の異常拡張および蛇行を呈するものを下肢静脈瘤とよび,静脈のうっ滞症状を伴う.
▼病態
静脈には深筋膜より深い部分を走行する深部静脈と,皮下を走行する表在静脈があり,表在静脈内の血流は穿通枝を介して深部静脈に流入する.さらにその血流は主に下腿の筋肉ポンプなどの働きで重力にさからって心臓に向かうが,その血流が逆流しないように一方向性の静脈弁によって遮られている.しかし,筋肉ポンプ作用の低下,静脈弁機能不全や深部静脈血栓症などが生じると,還流障害をきたし,その末梢側の静脈圧が亢進する.その結果,表在静脈が拡張し静脈瘤を形成する.うっ滞症状として,疼痛,倦怠感,浮腫,こむら返りなどを認め,他覚所見として,色素沈着,脂肪皮膚硬化症などの皮膚病変を認める.次第に進行し,皮膚潰瘍を伴うようになり,QOLを大きく侵す.
▼疫学
まれな疾患ではなく,国内では40歳