疾患を疑うポイント
●心臓外傷は3種類に大別される.刃物や銃による穿通性,胸部打撲や圧迫による鈍的外傷,および医原性である.
学びのポイント
●“cardiac box”とよばれるエリアの穿通性外傷は,心臓外傷を起こしている可能性があることを理解する.
●現場での診断・処置は最小限にしてできるだけ早く心臓血管外科施設に搬送.その際,穿通している刃物などは抜去せずにそのまま搬送する.
●穿通性心臓外傷では心タンポナーデを生じることがほとんどであるが,古典的Beckの三徴はそろわないことが多く,出血性ショックでは頸静脈怒張はみられない.
●鈍的外傷では無症状のものから,心室細動,心筋梗塞を起こすものまで程度はさまざまである.また心内構造物の損傷を起こしている場合には心エコー図による診断が重要.
▼定義
心臓の構造物が外的要因によって損傷される疾患である.体表面から連続する経路を通って損傷される穿通性外傷,打