2　血管外傷 | 医学書院_医療情報サービス

疾患を疑うポイント

●胸部，腹部，四肢など，損傷箇所によって損傷血管と病態は異なる．

●鈍的外傷は，交通事故，転落などに加えて，児童虐待やDVによっても起こる．

●胸部鈍的外傷による大動脈損傷の好発部位は，大動脈峡部(左鎖骨下動脈起始部のすぐ遠位部)．

●胸部大動脈損傷に対しては解剖学的に可能であればステントグラフト内挿術が第一選択となる．

●骨盤内の後腹膜出血に対しては，TAEによって出血をコントロールする．

●出血が続いている四肢血管外傷では，ターニケットによる止血が救命に有用．

●四肢の筋区画内の出血ではコンパートメント症候群に注意を払う．

　血管外傷は全身のあらゆる部位で起こりうるが，胸部，腹部，四肢ではそれぞれ対応が異なる．また心臓外傷と同様に，穿通性，鈍的外傷，医原性に分けて考えると理解しやすい．

　胸部・腹部の鈍的外傷は交通事故，転落などの高エネルギー外傷による