診療支援
治療

植込み型除細動器
清水 渉
(日本医科大学大学院大学院教授・循環器内科学)

ICDは心室細動(ventricular fibrillation:VF)や持続性心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)などの致死性不整脈による突然死を回避することを目的とした植込み型デバイスである.本体(ジェネレーター)を前胸部皮下に植込み,除細動・ペーシングリードを経静脈的に右室に留置し,VF/VTを感知すると直流通電や抗頻拍ペーシングを加えて頻拍を停止させる.VF既往例や器質的心疾患に伴い持続性VTを認める症例,またVF/VTは認めないが心臓突然死のリスクの高い低心機能症例における生命予後の改善効果が大規模臨床試験で証明されている.

◎二次予防

以下の場合に,クラスⅠ適応となる.(1)VFまたは電気ショックを要する院外心肺停止例,(2)心筋梗塞に伴う持続性VTを認め,①LVEF<35%,②VT中の失神,③VT中の血圧が80mmHg以下あるいは脳虚血症状・胸痛,④多形性VT,⑤血行動態の安定している持続性VTであっても薬剤治療が無効,あるいは副作用のため使用できない場合や薬効評価が不明な場合,もしくはカテーテルアブレーションが無効,のいずれかを認める場合,(3)非虚血性心筋症に伴う持続性VTを認め,①VT中の失神,②VT中の血圧が80mmHg以下あるいは脳虚血症状・胸痛,③多形性VT,④血行動態の安定している持続性VTであっても薬剤治療が無効,あるいは副作用のため使用できない場合や薬効評価が不明な場合,もしくはカテーテルアブレーションが無効,のいずれかを認める場合.

◎一次予防

以下の場合に,クラスⅠ適応となる.(1)以下のすべてを満たす冠動脈疾患または非虚血性心筋症患者:①十分な薬物治療,②NYHA心機能分類Ⅱ以上の心不全症状,③LVEF≦35%,④非持続性心室頻拍(nonsustained ventricular tachycardia:NSVT)

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