学びのポイント
●肝膿瘍は細菌性とアメーバ性に大別される.敗血症性ショックやDICを合併し致命的となることがあり,迅速な診断と治療が必要である.
●細菌性肝膿瘍の起因菌としては,肺炎桿菌や大腸菌などのグラム陰性桿菌が多いが,嫌気性菌との混合感染もあり,広域スペクトラムの抗菌薬と経皮的ドレナージによる治療を行う.
●アメーバ性肝膿瘍の診断に際し,近年,赤痢アメーバの感染経路が多様化しており詳細な病歴の聴取が診断の一助となる.メトロニダゾール薬内服ですみやかに回復する.
▼定義
肝膿瘍とは,肝臓外から細菌,原虫などが肝組織内に侵入,増殖した結果,肝組織が融解壊死を起こして形成された膿瘍と定義される.
▼病態
細菌性肝膿瘍の起因菌はグラム陰性桿菌によるものが多数を占める.近年,大腸菌が減少し,肺炎桿菌が増加している.またバクテロイデスなどの嫌気性菌や腸球菌などのグラム陽性菌も増加傾向を示している.
細菌の