疾患を疑うポイント
●通常の検査で診断不能な肝障害では本症を疑う.
学びのポイント
●薬物による治療可能な遺伝性代謝異常症である.
●治療の中断(怠薬)は致命的である.
●いかなる年齢の発症もありうる.
▼定義
常染色体劣性遺伝で遺伝する銅過剰症である〔第6章の→も参照〕.
▼病態
本疾患の責任遺伝子はATP7Bであり,この変異により肝細胞に存在する銅輸送体のATP7Bの機能に異常をきたし毛細胆管への銅排泄障害が起こる.銅は生体に必須の元素であるが,過剰の銅は活性酸素を生じ,肝障害や神経障害などさまざまな臓器の障害をきたす.肝細胞がつくる銅結合蛋白であるセルロプラスミンへの銅の結合も障害される.
▼疫学
患者は約3万人に1人の頻度で存在する.異常遺伝子保有者(ヘテロ接合体)は約80人に1人存在する.患者ではATP7Bに500種類以上の変異が報告されている.
▼分類
肝型,神経型に分類されることが多いが,症状
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