疾患を疑うポイント
●長鎖脂肪酸の代謝異常症であり,新生児マススクリーニングの対象疾患.
●β酸化障害によりエネルギー産生の低下を引き起こす.
●低ケトン性低血糖症を呈する.
▼定義
カルニチンはミトコンドリア膜において,数種類の酵素とともにカルニチン回路とよばれる長鎖脂肪酸輸送システムを形成し,長鎖脂肪酸をミトコンドリア内に輸送し,その脂肪酸のβ酸化によってATPが産生される(図6-28図).この長鎖脂肪酸輸送システムをカルニチン回路といい,その異常症には,全身性カルニチン欠乏症(OCTN-2異常症),カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅠ(CPT-1)欠損症,カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅡ(CPT-2)欠損症,カルニチン/アシルカルニチントランスロカーゼ(CACT)欠損症の4疾患が含まれる.
▼病態
➊全身性カルニチン欠乏症(OCTN-2異常症)
細胞膜上に局在するカルニチントランスポーター(OCTN-2)の機能低下が原因で,細胞内カルニチンが欠乏し,結果として長鎖脂肪酸代謝が障害される疾患である.また,尿細管腔側の細胞膜に局在するOCTN-2の機能低下によって再吸収障害が起き,尿中へのカルニチン過剰排泄も伴う.OCTN-2が発現する骨格筋,心筋などではより障害を受けやすい.
➋カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅠ(CPT-1)欠損症
ミトコンドリア外膜上にある酵素CPT-1は,長鎖アシルカルニチンが生成される過程を触媒し,摂食状況で変化するマロニルCoA濃度により活性が調整されている.CPT1A遺伝子は肝,腎,白血球,皮膚線維芽細胞で発現している.CPT-1欠損症では遊離カルニチンからアシルカルニチンの生成が障害されるため,血中遊離カルニチンが著増する.一般に神経学的予後は良好だが,重篤な低血糖発作や急性肝不全の発症は予後に影響を及ぼす.
➌カルニチンパルミトイ
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