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治療

【2】二次性(続発性)脂質異常症
secondary dyslipidemia
吉田 博
(東京慈恵会医科大学教授・臨床検査医学・柏病院中央検査部)

▼定義

 脂質異常症は,体質・遺伝子異常に基づいて発症する原発性脂質異常症と,さまざまな疾患などが原因となって引き起こされる二次性(続発性)脂質異常症に分類される.すなわち,ほかの疾患や薬の副作用などにより生じる脂質代謝異常を二次性脂質異常症という.

▼病態・診断・治療

 続発性脂質異常症の治療の基本は,原因となっている疾患・病態を見抜き,それらを治療することである.脂質異常症全体の30~40%が二次性脂質異常症である.二次性脂質異常症の治療は,原疾患の治療が原則として優先される.また,原因となる治療薬を変更または中止することで脂質異常症が治癒または改善する.

 二次性脂質異常症としては,コレステロールが増加する場合(甲状腺機能低下症など),トリグリセライド(TG)を増加させる場合(飲酒など),あるいはコレステロールとTGがともに増加する場合(ネフローゼ症候群など)があり,各リポ蛋白の増減が二次性脂質異常症のなかで確認される(表6-32,33)表6-33で示す原因のほかにも,リポ蛋白の増減が認められる.早老症のWerner(ウェルナー)症候群ではLDLの増加がみられる.腎不全ではVLDLの増加とともにレムナントリポ蛋白が増え,IDLコレステロールが高くなる.高炭水化物食は肝臓で脂肪酸転換後VLDLの合成を亢進,Cushing症候群ではVLDL合成亢進の結果,LDLも増加する.原則として2型糖尿病のようにインスリン抵抗性がある場合は,VLDL合成増加とリポ蛋白リパーゼ(lipoprotein lipase:LPL)活性低下によるVLDL異化の遅延などが生じ,高TG血症と低HDLコレステロール血症などが特徴的にみられるが,その結果,高LDLコレステロール血症もみられ,特にsmall dense LDLの増加がある.リポジストロフィーでもインスリン抵抗性がみられ,VLDLの増加と

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