▼定義
プリン骨格を有する物質をプリン体といい,プリン塩基,プリンヌクレオシド,ATPなどのプリンヌクレオチドやDNAやRNAといった核酸の構成物質となっている.尿酸はプリン体の最終代謝産物であり,高尿酸血症とは血液中の尿酸の飽和濃度を上回る血清尿酸値7.0mg/dLを超えた状態と定義されている.
▼病態
血清尿酸値は,アルコール摂取,体重増加,脱水や激しい運動などにより上昇しやすい.尿酸が難溶性の物質であることから,高尿酸血症になると関節や臓器に尿酸の析出と沈着が起こりやすくなり,高尿酸血症の持続により痛風,尿路結石や腎障害を発症する.
急激な変動などがなければ,血清尿酸値は体内の尿酸プールを反映しており,尿酸プールの大きさは尿酸への代謝(合成)と排泄のバランスにより決まる.体内の尿酸の大部分は,体内でプリン体から代謝されたものであり,尿酸の排泄の約2/3は腎臓が,残りのほとんどは消化管が担っている.血清尿酸値の上昇は,腎臓からの尿酸排泄低下,腸管からの尿酸排泄低下および尿酸への代謝増加により起こる.
腎臓において,尿酸は糸球体ろ過膜を自由に通過した後,糸球体でろ過された尿酸の6~10%が尿中に排泄されるが,水の再吸収により尿酸濃度は上昇し析出しやすくなる.さらに尿の酸性化による尿酸の溶解度の低下もあり,腎障害や尿路結石を引き起こしやすくなる.高尿酸血症の改善にもかかわらず,腎障害が進行する場合はウロモジュリン(uromodulin)関連腎臓病などの可能性も考えるべきである.
▼疫学
血清尿酸値は男性のほうが女性より高値である.年齢別では,男性では20歳くらいまで上昇し,その後プラトーに達するが,女性では閉経期以降に上昇し,男性の値に近づく.成人男性の20~25%程度に高尿酸血症を認める.女性は,50歳代,60歳代で数%に高尿酸血症を認める.
▼分類
ほかに原因が見いだせないも
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