疾患を疑うポイント
●無症状で偶然に発見される症例が多い.
●疾患の発見には内視鏡検査が有用.
学びのポイント
●神経内分泌腫瘍とは内分泌細胞や神経細胞から発生する腫瘍の総称.
●病理組織による分化度(高分化型,低分化型)および細胞の増殖能因子(Ki-67指数)の判定が重要.
●超音波内視鏡の普及により,正確な病理診断および組織に見合った治療が可能となってきた.
●腫瘍の局在診断や遠隔転移の検索にソマトスタチン受容体シンチグラフィ(SRS)が有用.
●外科的治療が標準であるが,進行例や切除不能例に対してはソマトスタチンアナログ製剤や分子標的治療薬が有用.患者の状態,腫瘍の分化度を考えた集学的治療が必要.
▼定義
全身に広く分布する神経内分泌細胞に由来する腫瘍であり,歴史的にはカルチノイドとよばれていた.しかし,臨床病理学的研究が進むにつれて悪性度の多様性が認識され,現在では病理組織学的所見による分類と疾患名が定着している.
▼病態
消化管神経内分泌細胞は消化管のどの部位にも存在する.消化管には少なくとも13種類の神経内分泌細胞が存在するとされている.例えば超クロム親和性(enterochromaffin:EC)細胞は小腸に分布する主要な神経内分泌細胞であり,セロトニン,サブスタンスP,メラトニンなどを産生する.この細胞はアデニル酸シクラーゼ,βアドレナリン受容体,下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(pituitary adenylate cyclase activating polypeptide:PACAP)などにより分泌が刺激され,ソマトスタチン受容体,ムスカリン受容体,GABAA受容体により分泌が抑制される.さらに分泌されたセロトニンは消化管上皮細胞の増殖や消化管平滑筋の収縮などに関与する.また消化管の神経内分泌細胞は発生学的に神経堤由来ではなく,ほかの消化管上皮細胞と同じく局
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/(合剤)インジウム(111In)ペンテトレオチド《オクトレオスキャン》
- 治療薬マニュアル2024/エベロリムス《アフィニトール》
- 治療薬マニュアル2024/ストレプトゾシン《ザノサー》
- 治療薬マニュアル2024/シスプラチン《ランダ》
- 治療薬マニュアル2024/エトポシド《ベプシド ラステット》
- 治療薬マニュアル2024/イリノテカン塩酸塩水和物《カンプト トポテシン》
- 臨床検査データブック 2023-2024/SPan-1抗原 [保] 144点(包)
- 今日の治療指針2023年版/ペンテトレオチド塩化インジウム
- 臨床検査データブック 2023-2024/サイトケラチン19フラグメント《シフラ21-1〔CYFRA21-1〕》 [保] 158点(包)
- 今日の治療指針2023年版/神経内分泌腫瘍
- 臨床検査データブック 2023-2024/神経特異エノラーゼ〔NSE〕 [保] 142点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/転移性肝癌
- 新臨床内科学 第10版/1 胸腺上皮性腫瘍
- 臨床検査データブック 2023-2024/エストロゲンレセプター [保] 720点
- 新臨床内科学 第10版/4 胃神経内分泌腫瘍
- 今日の小児治療指針 第17版/Wilms腫瘍(腎芽腫)