学びのポイント
●貧血と黄疸を診た場合には溶血を疑い,血液検査で溶血の存在を確認.
●溶血性貧血の半数は,直接抗グロブリン(Coombs)試験陽性の温式AIHAであり,副腎皮質ステロイドが有効.
▼定義
赤血球膜上の抗原と反応する自己抗体によって赤血球が傷害され,血管外(脾臓や肝臓)溶血あるいは補体活性化により血管内溶血を起こし,貧血をきたす.
▼分類
自己抗体が赤血球に結合する至適温度により温式(37℃)と冷式(4℃)に分類される.前者は温式AIHAであり,後者はさらに寒冷凝集素症(cold agglutinin disease:CAD)と発作性寒冷ヘモグロビン尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria:PCH)とに分類される.温式AIHAとCADが併存する場合は混合型とよぶ.温式AIHAの20%程度に特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)が合併し,Evans(エヴァンス)症候群とよばれる.
▼病態
温式抗体のほとんどは多クローン性IgGであり,Rh蛋白,バンド3蛋白,グリコホリンAに結合する.IgG結合赤血球はIgG Fc受容体を介して主に脾臓マクロファージに貪食される.
寒冷凝集素は通常IgM型自己抗体で,身体表面での冷却によりIi血液型糖鎖抗原に結合して補体を活性化して,C3bを赤血球上に誘導する.身体中央部(体温)で寒冷凝集素は遊離するが,C3b結合赤血球はC3b受容体を介して主に肝の貪食細胞に捕捉・貪食される.
PCHの原因となる二相性溶血素(biphasic hemolysin)はIgG抗体〔Donath-Landsteiner(ドナート-ランドシュタイナー:DL)抗体〕であり,身体表面上での寒冷条件でP血液型糖鎖抗原に結合し補体第1成分を活性化する.身体内部で再加温すると抗体は
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