学びのポイント
●血算は臨床検査のなかで最も基本的で頻用されている検査であり,その重要度はきわめて高い.
●血算から得られる情報は多く,血算の結果を適切に評価することは血液疾患のみならず臨床の基本である.
●今日では血算は自動血球計数器で行われており,血球数だけでなく血球の形態の解析やその他の血球分析が可能である.しかし,末梢血塗抹標本の鏡検の重要性は今日でも変わらない.
●血算により得られる情報を最大限に利用できるように,病態生理を意識して血算を評価・解釈すること(読み方)が重要である.
▼赤血球系
血算(全血球計算,complete blood count:CBC)は赤血球系の異常である貧血と赤血球増加症(多血症)の診断に必須の検査である.基準範囲は,RBC:男性4.1~5.3×106/μL,女性3.7~4.8×106/μL,Hb濃度:男性13.0~17.0g/dL,女性11.0~15.0g/dL,Ht:男性40.0~50.0%,女性33.0~45.0%である(基準範囲は施設により異なる).
貧血は血液中のRBC,Hb,Htの1つ以上が低下した状態であるが,通常はHb濃度により評価する.成人男性でHb濃度が13g/dL未満,成人女性で12g/dL未満を貧血とするが,高齢者では,男女ともHb 11g/dL未満を貧血とする.また,Hb濃度が,男性で18g/dL,女性で16g/dL以上である場合を赤血球増加症(多血症)とする.
貧血の鑑別診断において,赤血球恒数(red cell indices)と網赤血球数が重要である.赤血球恒数は,MCV,MCH,MCHCで,以下の式で算出されるが,自動血球計数器でほかの結果と一緒に報告される.
●MCV(fL)=Ht(%)×10/RBC(×106/μL)
●MCH(pg)=Hb(g/dL)×10/RBC(×106/μL)
●MCHC(%)=Hb(g/d
関連リンク
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/2 貧血の鑑別
- 臨床検査データブック 2023-2024/血球計数 赤血球数〔RBC〕血色素量《ヘモグロビン〔Hb〕》ヘマトクリット〔Ht〕網赤血球数〔Ret〕 [パニ][保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/血球計数 白血球数〔WBC〕 [パニ][保] 21点
- 臨床検査データブック 2023-2024/血球計数 血小板数〔Plt〕 [パニ][保] 21点
- 臨床検査データブック 2023-2024/血液像 白血球像,白血球分類,白血球分画 [パニ][保]*
- 新臨床内科学 第10版/【1】貧血
- 新臨床内科学 第10版/【5】再生不良性貧血
- 新臨床内科学 第10版/【15】二次性赤血球増多症
- 新臨床内科学 第10版/【8】二次性血小板増多症
- 今日の診断指針 第8版/白血球増加
- 今日の診断指針 第8版/白血球減少