疾患を疑うポイント
●網赤血球増加,血清ハプトグロビン低値,間接ビリルビン高値などの溶血所見がみられたら,末梢血塗抹標本で赤血球形態観察を行い,球状赤血球,有口赤血球が目立った場合は本症を疑う.
●典型例では常染色体優性遺伝形式をとるが,家系内発症の認められない孤発例が少なくとも1/3に及ぶので,遺伝歴がないだけで否定しない.
学びのポイント
●先天性溶血性貧血のなかで,最も頻度が高い疾患である.高齢になって初めて診断される例もまれではない.
●一般に赤血球の形態が通常の許容範囲を超えて変形している状態を奇形赤血球症といい,形態に基づき奇形赤血球として十数種類が定義されている.先天性溶血性貧血ではしばしばその疾患固有の赤血球形態異常を有しており,診断の有力な手がかりとなるため,塗抹標本にて赤血球の形態を注意深く観察することを怠らない.
●経過中,貧血が急速に進行することがある.感染症や薬物による溶血発