疾患を疑うポイント
●家族歴,若年,非典型部位,再発性,ヘパリン抵抗性の血栓症に遭遇したら本症を疑う.
●ネフローゼ症候群,L-アスパラギナーゼ投与,肝障害時には後天性にATが低下し,血栓リスクとなる.
学びのポイント
●ATは活性化凝固因子に結合して活性を阻害する抗凝固因子.
●ヘパリンはアンチトロンビンの活性を増強する抗凝固薬.
●先天性AT欠乏症は常染色体顕性遺伝.
●先天性AT欠乏症は,ほかの先天性血栓性素因と比較して血栓症リスクが高い.
▼定義
アンチトロンビン(AT)の遺伝子異常による常染色体顕性遺伝の血栓性素因である.一般的には先天性のものをAT欠乏症(欠損症)というが,後天的にネフローゼや薬剤投与によりATが低下して,血栓症を引き起こすこともある.
▼病態
ATは肝臓で産生される抗凝固因子である.半減期は2~4日程度で,トロンビンや活性化第Ⅹ因子などの活性化凝固因子に1:1で結合し,活性を阻
関連リンク
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