診療支援
治療

【1】特殊染色
specific staining
通山 薫
(川崎医科大学教授・検査診断学)

学びのポイント

●特殊染色の意義と個々の患者についての適応を理解する.

●実臨床において,染色結果は病型判定の決め手となることが多い.

●実際の判定は通常臨床検査室に委ねるので,担当検査技師とよくコミュニケーションをとる.

▼血液細胞標本の特殊染色とその意義

 血液塗抹標本の基本染色はMay-Grünwald-Giemsa(メイ-グリュンワルド-ギムザ)染色やWright-Giemsa(ライト-ギムザ)染色であるが,造血器腫瘍の病型診断のためには,細胞内の酵素,多糖類,脂質,金属などを化学反応によって染色する細胞化学的検査(特殊染色)がしばしば決定的な所見となる.特に急性骨髄性白血病の病型診断に重要である(表8-36).染色の技術的部分と基本的な判定は通常臨床検査室に委ねることになるが,結果の解釈は血液臨床医が責任をもってするべきである.

▼主な特殊染色

MPO染色

 ペルオキシダーゼは種々の組織・細胞に存在するが,ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase:MPO)は骨髄球系・単球系細胞にのみ発現する.リンパ系細胞と赤芽球は陰性のため,急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)と急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL)との鑑別に重要であり,芽球のMPO陽性率が3%以上であればAML,それ未満であればALLと判断する(図8-48).ただしAMLのなかでもFAB分類におけるM0,M7とM5aの一部ではMPOが陰性である.特異抗体を用いたフローサイトメトリー法はより高感度で,M0でも陽性所見を示す.M7の診断には血小板ペルオキシダーゼ(platelet peroxidase:PPO)を電顕にて証明する方法がある.MPO欠損は先天性のほか,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrom

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