診療支援
治療

【4】化学療法
chemotherapy
仲宗根 秀樹
(自治医科大学附属さいたま医療センター・血液科講師)

学びのポイント

●血液内科の加療は,経口抗がん剤から多剤併用化学療法に至るまで多岐にわたる.大まかな疾患分類とともに,どの時期(初発or再発/寛解導入or地固め)の治療なのかあわせて考えるとよい.

●古典的な抗がん剤のほか,腫瘍特異的な分子標的薬の開発が進んでいる(図8-56)

●血液疾患の化学療法は,合併症を含めたマネジメント力が必要な領域ともいえる.ぜひ全身管理に長けた動ける内科医を目指していただきたい.

▼定義

 化学物質による治療のことであり,主には抗がん剤による加療を指す.骨髄系腫瘍,リンパ系腫瘍に応じて使い方が異なる.

▼主な抗がん剤と特徴的な副作用

アントラサイクリン

●主な薬剤:イダルビシン(IDR),ダウノルビシン(DNR),ミトキサントロン(MIT),ドキソルビシン(ADR)など.

 白血病,リンパ腫治療の中心的な薬剤.心筋への蓄積毒性があり上限が設定されている.例えばADRでは累積投与量がADRに換算して500mg/m2を超えないようにする.溶解すると独特な色で抗がん剤と一目でわかるようになっている.

代謝拮抗薬

●主な薬剤:シタラビン(Ara-C),メトトレキサート(MTX)など

 いずれも白血病,リンパ腫ともに使用される重要な薬剤.MTXは,リンパ系腫瘍で多く使用される.持続投与,大量投与,髄腔内投与など使用方法は多岐にわたるが,大量投与は中枢神経病変を念頭に行われる.Ara-C大量投与は,中枢神経症状,結膜炎などの症状に気をつけ,MTX大量投与は,補液,尿アルカリ化,薬物モニタリングを行う.

アルキル化剤

●主な薬剤:シクロホスファミド(CPA),メルファラン(MEL,L-PAM),ブスルファン(Bu)など

 CPA,MELはリンパ系腫瘍で使われる.いずれの薬剤も大量投与で造血幹細胞移植の前処置として使用される.CPA大量投与は,心筋毒性や出血性

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