診療支援
治療

【16】ホジキンリンパ腫
Hodgkin lymphoma(HL)
伊豆津 宏二
(国立がん研究センター中央病院・血液腫瘍科科長)

疾患を疑うポイント

●発症年齢は若年成人・高齢者に2峰性のピークがある.

●若年成人では頸部リンパ節,前縦隔に生じることが多い.

学びのポイント

●Hodgkin細胞/Reed-Sternberg細胞により特徴づけられる悪性リンパ腫.

●限局期では化学療法と放射線療法の併用療法,進行期では化学療法が行われ,いずれの場合も治癒の可能性が高い.

▼定義

 成熟B細胞由来の悪性リンパ腫で,病理組織学的に,周囲にT細胞主体の反応性リンパ球を伴い非常に大型の腫瘍細胞〔Hodgkin(ホジキン)細胞/Reed-Sternberg(リード-ステルンベルグ)細胞〕が散在性に認められるという特徴がある.

▼病態

 リンパ節や前縦隔(胸腺)などリンパ組織に病変を生じることが多く,進行すると肝臓や骨髄などの節外臓器にも病変を生じる.節外臓器主体のことはまれである.腫大リンパ節が周辺臓器を圧迫すると浮腫,気道圧迫,水腎症などの合併症を生じる.縦隔腫大により咳嗽,上大静脈症候群などを生じうる.腫瘍細胞から産生されるIL-1,IL-6,TNF-αなどのサイトカインを介して発熱・体重減少・夜間盗汗などの全身症状(B症状)をきたす.

 ほとんどの場合,腫瘍細胞で染色体9p24.1のPD-L1遺伝子の増幅などがみられ,PD-L1が高発現している.これによる免疫回避がHLの本質的な病態と考えられている.

▼疫学

 日本での悪性リンパ腫の罹患数は年間で約3万人と推定されており,そのうちHLは約5%を占める.日本では米国に比べて悪性リンパ腫全体の罹患数も,悪性リンパ腫中のHLの割合も低い.若年者に多い結節硬化型では女性の比率が高い.

▼分類

 大部分を占める古典的HLと,まれな結節性リンパ球優位型HLの2つに分類される.古典的HLはさらに結節硬化型,混合細胞型,リンパ球豊富型,リンパ球減少型の4型に分類される.古典的HLの腫瘍細胞は,多核の

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