疾患を疑うポイント
●発症年齢は若年成人・高齢者に2峰性のピークがある.
●若年成人では頸部リンパ節,前縦隔に生じることが多い.
学びのポイント
●Hodgkin細胞/Reed-Sternberg細胞により特徴づけられる悪性リンパ腫.
●限局期では化学療法と放射線療法の併用療法,進行期では化学療法が行われ,いずれの場合も治癒の可能性が高い.
▼定義
成熟B細胞由来の悪性リンパ腫で,病理組織学的に,周囲にT細胞主体の反応性リンパ球を伴い非常に大型の腫瘍細胞〔Hodgkin(ホジキン)細胞/Reed-Sternberg(リード-ステルンベルグ)細胞〕が散在性に認められるという特徴がある.
▼病態
リンパ節や前縦隔(胸腺)などリンパ組織に病変を生じることが多く,進行すると肝臓や骨髄などの節外臓器にも病変を生じる.節外臓器主体のことはまれである.腫大リンパ節が周辺臓器を圧迫すると浮腫,気道圧迫,水腎症などの合併症を生じる.縦隔腫大により咳嗽,上大静脈症候群などを生じうる.腫瘍細胞から産生されるIL-1,IL-6,TNF-αなどのサイトカインを介して発熱・体重減少・夜間盗汗などの全身症状(B症状)をきたす.
ほとんどの場合,腫瘍細胞で染色体9p24.1のPD-L1遺伝子の増幅などがみられ,PD-L1が高発現している.これによる免疫回避がHLの本質的な病態と考えられている.
▼疫学
日本での悪性リンパ腫の罹患数は年間で約3万人と推定されており,そのうちHLは約5%を占める.日本では米国に比べて悪性リンパ腫全体の罹患数も,悪性リンパ腫中のHLの割合も低い.若年者に多い結節硬化型では女性の比率が高い.
▼分類
大部分を占める古典的HLと,まれな結節性リンパ球優位型HLの2つに分類される.古典的HLはさらに結節硬化型,混合細胞型,リンパ球豊富型,リンパ球減少型の4型に分類される.古典的HLの腫瘍細胞は,多核の
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/ダカルバジン《ダカルバジン》
- 治療薬マニュアル2023/ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)《アドセトリス》
- 治療薬マニュアル2024/ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)《アドセトリス》
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/Kaposi肉腫
- 今日の治療指針2023年版/ホジキンリンパ腫
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/その他の皮膚T細胞リンパ腫(非菌状息肉症型)
- 今日の治療指針2023年版/精巣腫瘍
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/皮膚B細胞リンパ腫
- 今日の治療指針2023年版/神経芽腫
- 内科診断学 第4版/睡眠中の奇行
- 新臨床内科学 第10版/(2)悪性腫瘍
- 新臨床内科学 第10版/【17】非ホジキンリンパ腫
- 今日の整形外科治療指針 第8版/未分化多形肉腫
- 今日の小児治療指針 第17版/Langerhans細胞組織球症