診療支援
治療

1 蛋白尿
proteinuria
今井 直彦
(聖マリアンナ医科大学講師・腎臓・高血圧内科)

学びのポイント

●尿中には正常でもアルブミン,β2ミクログロブリン,α1ミクログロブリン,Tamm-Horsfallムコ蛋白などの蛋白成分がわずかに認められる.

●生理的な蛋白尿の原因として発熱,激しい運動,起立性蛋白尿などがある.

●蛋白尿は腎予後を判定するうえで重要な検査である.蛋白尿が持続性に軽度以上認められる場合には病的意義がある.

●尿蛋白の量は必ず定量評価で行う.試験紙法による定性検査では尿蛋白の正確な評価は行えない.

▼定義

 1日150mg以上の尿蛋白を排泄すること.1日150mgまでの微量は健常者でも認められ,正常(0.15g/日未満),軽度(0.15以上0.50g/日未満),高度(0.50g/日以上)に分類される.

▼分類

 尿中には正常でもアルブミン,β2ミクログロブリン,α1ミクログロブリン,Tamm-Horsfall(タム-ホースフォール)ムコ蛋白などの蛋白成分がわずかに認められる.1日150mg以上の尿蛋白の排泄を蛋白尿といい,蛋白尿は生理的な蛋白尿病的な蛋白尿に分類される.

 腎臓に器質的な異常を認めないが,一過性あるいは可逆的に蛋白尿がみられることを生理的蛋白尿といい,発熱,激しい運動,ストレス,起立性蛋白尿などでみられる.随時尿で陽性であるにもかかわらず,早朝第一尿では陰性の持続性蛋白尿では起立性蛋白尿が疑われる.起立性蛋白尿は小児においてしばしば認められ,腎下垂や遊走腎などにより腎血流が変化するため,安静時では認められないが,立位や前弯位により蛋白尿が認められる.病的な蛋白尿はさらに腎前性,腎性,腎後性の3つに大別される(表9-1)

▼診断

 試験紙法による定性検査で複数回,尿蛋白陽性となった場合,尿蛋白定量でその量を確認する.試験紙法はアルブミン以外の蛋白は検出できない.例えば多発性骨髄腫における免疫グロブリン軽鎖からなるBence Jones(ベンス

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