▼定義
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は,「腎臓の障害(蛋白尿など),もしくはGFR(糸球体ろ過量)60mL/分/1.73m2未満の腎機能低下が3か月以上持続するもの」と定義される.
➊腎臓の障害(表9-13図)
腎臓の障害を示す所見としては,蛋白尿(アルブミン尿)が重要である.蛋白尿0.15g/日またはUPCR(尿蛋白/クレアチニン比)0.15g/gCrがCKD診断の基準となる.その他には下記のようなものが腎障害の指標となる.
●尿沈渣の異常:赤血球円柱や白血球円柱
●酸塩基平衡や電解質異常:低カリウム血症や尿細管性アシドーシスなど
●腎臓の形態異常:片腎や多発性囊胞腎,尿路障害による水腎症など
●腎病理学検査:糸球体腎炎,糖尿病性腎症など
●腎移植:腎移植のドナー(提供する側),レシピエント(受ける側)いずれも,CKDに分類される.
➋腎機能の低下
腎機能の測定のゴールドスタンダードはイヌリンクリアランスなどによるGFR測定である.しかし,日常診療では血清クレアチニン値から腎機能を推定している.日本人のためのGFR推算式(表9-14図)を用いて,血清クレアチニン値と年齢,性別より計算された推算GFR(eGFR):60mL/分/1.73m2未満が3か月以上続く場合,CKDと診断している.CKDの評価にはクレアチニンクリアランスは用いない.
▼重症度分類(表9-15図)
CKDの重症度は原因(Cause:C),腎機能(GFR:G),蛋白尿(アルブミン尿:A)によるCGA分類で評価する.わが国では,国際分類を日本人用に改変したものが用いられている(表9-15図).
➊蛋白尿の評価
蛋白尿(アルブミン尿)の程度によりA1からA3に分類される.腎予後,心血管病予後,生命予後はいずれも,A1からA3に進むにつれ悪化する(表9-15図).蓄尿検査が望ましいが,実施困