▼リスク因子の管理の重要性
CKDでは,前述のように多数のCVDの古典的リスク因子が認められる.CKDを含まない研究では,これらの古典的リスク因子の是正によりCVDの減少,死亡率の減少など臨床的に好ましい結果が得られている.しかし,残念ながらCKDでは多くの研究でこれらのリスク是正の確固たる有効性が示されていない.CKDにおいてはリスク因子の管理の必要はないのかという疑問が生じるが,そうではなく,CKDでは,多数のリスク因子を有しているため,1つの因子を是正してもよい結果が出にくいためではないかと考えられている.したがって,CKDにおいては,1つだけでなく,複数のリスク因子をきちんと管理することが重要である.
➊血圧管理
CKDでは,血圧値が高いほど腎機能の低下のスピードが速くなることが観察研究で示されている.糖尿病合併患者では,心血管疾患発症のリスクが高く,CKD進展抑制のエビデンスもある