診療支援
治療

4 CKDの管理(血圧,脂質,貧血,電解質,ミネラル骨代謝異常,食事)
management of chronic kidney disease
藤井 秀毅
(神戸大学大学院講師・腎臓内科)

▼リスク因子の管理の重要性

 CKDでは,前述のように多数のCVDの古典的リスク因子が認められる.CKDを含まない研究では,これらの古典的リスク因子の是正によりCVDの減少,死亡率の減少など臨床的に好ましい結果が得られている.しかし,残念ながらCKDでは多くの研究でこれらのリスク是正の確固たる有効性が示されていない.CKDにおいてはリスク因子の管理の必要はないのかという疑問が生じるが,そうではなく,CKDでは,多数のリスク因子を有しているため,1つの因子を是正してもよい結果が出にくいためではないかと考えられている.したがって,CKDにおいては,1つだけでなく,複数のリスク因子をきちんと管理することが重要である.

血圧管理

 CKDでは,血圧値が高いほど腎機能の低下のスピードが速くなることが観察研究で示されている.糖尿病合併患者では,心血管疾患発症のリスクが高く,CKD進展抑制のエビデンスもあるため,降圧目標値は130/80mmHg未満とするとされている.また,糖尿非合併患者では,蛋白尿を認めている場合はCKD進行抑制に関するエビデンスが示されているため,130/80mmHg未満が降圧目標とされている,一方,蛋白尿を認めていない場合はより厳格な降圧による有益性が示されていないため,140/80mmHg未満が降圧目標とされている.ただし,エビデンスのみにとらわれるのではなく,降圧目標値に関しては年齢や合併症など患者個々の状態により,慎重に検討すべきであると考える.

 降圧薬の種類に関しては,糖尿病を合併する場合は,蛋白尿減少,腎保護作用のエビデンスが多数示されているRA系阻害薬の使用が推奨されている.一方,糖尿病非合併例では,蛋白尿を認めない場合は,一般の高血圧患者と同様に第一選択薬であるカルシウム拮抗薬,RA系阻害薬,利尿薬のいずれを選択してもよく,蛋白尿を認める場合は,RA系阻害

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