診療支援
治療

2 巣状分節性糸球体硬化症
focal segmental glomerulosclerosis(FSGS)
和田 健彦
(東海大学准教授・腎内分泌代謝内科学)

学びのポイント

●一次性FSGSでは,ステロイド治療に抵抗性を示して治療に難渋することも多い.

●一次性FSGSによる末期腎不全患者では移植後再発が多く,なんらかの液性因子が病態に関与している可能性が指摘されている.

●病理組織学的所見や遺伝子変異が関連するFSGSの検討から,糸球体足細胞障害が主たる病態であると考えられている.

●二次性FSGSでは血行動態の変化や感染・薬剤が関連するものなど,病態はさまざまである.

▼定義

‍ 巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)は一部の糸球体の(focal:巣状)一部に限局した(segmental:分節性)硬化という病理組織学的特徴を表す疾患名であるが,特に一次性の症例は,微小変化型ネフローゼ症候群と同様の発症様式・臨床像をとりながら,しばしばステロイド抵抗性の経過をたどる難治性ネフローゼ症候群の代表的疾患である.

▼病態

 FSGSは病理組織学的な診断・分類であり,その病因・病態は単一ではない(表9-32)

一次性FSGS

 病態の中心には糸球体足細胞障害があると考えられている.一次性FSGSで末期腎不全に至った患者に腎移植を行った場合に数時間~数日という非常に早い段階で移植後再発が起こるケースがしばしば認められることから,この病態になんらかの液性因子が関与している可能性がある.

先天性ネフローゼ症候群・遺伝子異常に関連するFSGS

 出生時や出生後3か月以内に発症する先天性ネフローゼ症候群や,その後出生後1年までに発症する乳児ネフローゼ症候群の多くは遺伝子異常に関連すると考えられており,原因遺伝子が近年次々と同定されている(表9-32).これらのなかには,足細胞の形態維持やろ過障壁としての機能に関連する分子をコードしているものが多く,FSGSの主病態が足細胞異常に起因することを示

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