診療支援
治療

4 腎梗塞
renal infarction
長田 太助
(自治医科大学教授・腎臓内科学)

学びのポイント

●圧倒的に心房細動からの塞栓性閉塞が多い.

●急な側腹部痛・背部痛がある患者に心房細動があれば必ず鑑別診断に入れるべき疾患.

●慢性に経過し,腎臓が萎縮してからでは治療はできないので,早期の診断が必要である.

▼定義

 腎動脈主幹部もしくはその分枝が何らかの原因により閉塞し,虚血・低酸素により腎組織が傷害をうける疾患.

▼病態

 心房細動,心弁膜症,虚血性心疾患に併発する塞栓性閉塞による頻度が最も高いが,動脈硬化を基盤とする腎動脈狭窄などに起因することもあり,既往歴・心血管リスクなど臨床的な背景を把握することが重要.急激な側腹部痛,背部痛,悪心・嘔吐などを訴える場合から無症状までさまざまであるが,早期診断・早期治療が重要であるから,尿所見や血液検査で可能性がある場合,必ず鑑別診断に入れる必要がある.診断まで数日かかる例もあり,早めにCT,MRI,レノグラムなどを施行して早期の確定診断を目

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