診療支援
治療

3 抗がん剤による腎障害
renal injury by antineoplastic agents
谷口 義典
(高知大学学内講師・内分泌代謝・腎臓内科)
寺田 典生
(高知大学教授・内分泌代謝・腎臓内科)

▼定義

 抗がん剤の多くに腎毒性が報告されている.抗がん剤は単独あるいは併用でさまざまな癌治療に使用されており,今後抗がん剤による腎障害が増加すると思われる.抗がん剤の腎障害発症にはそれぞれ特有の機序があるので,発症機序を理解することはその対策を考えるうえでも重要となる.

▼病態

 シスプラチンは急性尿細管壊死を起こし急性腎障害を呈する.また,遠位尿細管から集合管の障害により尿中マグネシウム(Mg)排泄増加,低Mg血症を起こしてくる.シクロホスファミドでは尿細管におけるADH反応性亢進をきたし,水排泄障害,低ナトリウム(Na)血症を起こすことが報告されている.メトトレキサートは遠位尿細管管腔内で結晶を形成し,その部位の閉塞を起こすことで閉塞性腎不全を起こす.マイトマイシンCにおいては血管内皮細胞の障害による溶血性尿毒症症候群が主であるが,その他メサンギウム細胞障害によるメサンギウム融解

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