診療支援
治療

4 免疫抑制薬による腎障害
renal injury by immunosuppressants
谷口 義典
(高知大学学内講師・内分泌代謝・腎臓内科)
寺田 典生
(高知大学教授・内分泌代謝・腎臓内科)

▼定義

 免疫抑制薬のうち,臨床的に使用頻度の多いものにアザチオプリンとシクロスポリンがあるが,アザチオプリンによる腎障害の報告は少ない.一方,移植の免疫抑制薬として汎用されているシクロスポリンは,各種リウマチ性疾患の治療にも広く使われているが,腎障害の発症が最も問題となる.シクロスポリン腎症には急性と慢性の腎毒性がある.急性腎毒性は血中濃度のコントロールを的確に行うことにより減少しつつあるが,シクロスポリンの長期投与で生じうる慢性腎毒性が問題になっている.最近,シクロスポリンと同じカルシニューリン阻害薬であるタクロリムスの使用頻度が増えている.タクロリムスによる腎障害はシクロスポリンとほぼ同様であると考えられている.

▼病態

 シクロスポリン腎症はさまざまな病型をとるが,腎血流低下と慢性尿細管間質性腎炎が主たる機序であることが多い.急性腎毒性の機序としてはシクロスポリンによる細胞内Ca

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