診療支援
治療

2 亜急性硬化性全脳炎
subacute sclerosing panencephalitis(SSPE)
藥師寺 祐介
(佐賀大学講師・脳神経内科)

疾患を疑うポイント

●脳炎であるが発熱・頭痛を欠く.

●学童期に知的障害,性格変化,脱力発作,歩行異常,四肢・体幹ミオクローヌスが出現・進行し,無動・無言状態に至る.

学びのポイント

●麻疹に感染後,数年の潜伏期間の後に発病する.

●発病後は数か月から数年の経過(亜急性)で神経症状が進行し,現在でも予後は悪い.

●ワクチン接種の普及している国ではまれである.

▼定義

 1~2歳の麻疹罹患時に体内に入り込んだ麻疹ウイルスが,中枢神経系に持続感染することによって学童期に起こる遅発性中枢感染症である.

▼病態

 発症にはウイルス側の要因と宿主側の要因がある.前者には麻疹ウイルスの変異が挙げられる.変異株のSSPEウイルスはM蛋白を欠く不完全ウイルスで強い細胞結合力をもち,細胞融合を介して他細胞へ感染する特性をもつ.宿主側の要因として2歳未満での麻疹罹患がある.すなわち,免疫系や中枢神経系が十分に発達していない幼少期

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