学びのポイント
●先進国で最も頻度の高い急性四肢麻痺性疾患.
●重症例では呼吸筋麻痺を呈するため,重要な神経救急疾患.
●先行感染因子と末梢神経構成成分の分子相同性による発症が証明された唯一の疾患.
▼定義
先行感染(胃腸炎,上気道炎)の1~2週後に急性に発症する運動優位多発ニューロパチーであり,自己免疫性機序が推定されている.
▼病態・分類
脱髄型と軸索型に大別される.1916年の原著報告以来,本症候群は脱髄性の末梢神経障害とされてきたが,1990年代に入り軸索が一次性に障害される軸索型Guillain-Barré(ギラン-バレー)症候群の概念が確立された.軸索型においてはグラム陰性菌であるCampylobacter jejuniの感染後に菌体外膜に発現するガングリオシドGM1・GD1a様構造に対する抗体が産生され,運動神経軸索のガングリオシドと交叉反応するという分子相同性による発症機序がほぼ確立されている.脱髄型GBSはサイトメガロウイルス,EBウイルス感染後の発症が多く,標的分子は同定されていないが,分子相同性による抗体介在性の機序が推定されている.
▼疫学
わが国における年間発症率は10万人あたり約1人であり,年間発症患者数は約1,100人である.あらゆる年齢層に発症するが,若年成人と高齢者に発症のピークがある.
病型としては欧米においては脱髄型が多く,中国では軸索型が大半を占める.わが国ではこの2つの病型ほぼ同様の頻度である.
▼診断
先行感染後1~2週で急性に発症する多発ニューロパチーであり,四肢の筋力低下を主徴とする.
軸索型は純粋運動型であり感覚障害がみられないことから,ほかの急性麻痺性疾患である低カリウム性四肢麻痺(特に下痢が先行する場合),急性脊髄前角炎,亜急性発症型のLambert-Eaton(ランバート-イートン)筋無力症候群などが鑑別に挙がるが,血清カリウム値
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