学びのポイント
●慢性自己免疫性末梢神経障害のなかで最も頻度が高い.
●両側対称性で近位筋が遠位筋と同様に障害される典型的CIDPと,遠位優位型あるいは多発単ニューロパチー型の非典型的CIDPに大別される.
●典型的CIDPは副腎皮質ステロイド,免疫グロブリン療法に対する反応性が良好である.
▼定義
2か月以上にわたり進行性または再発性の経過で,四肢の筋力低下としびれ感をきたす脱髄性末梢神経疾患.自己免疫性機序が推定されている.
▼病態・分類
末梢神経髄鞘あるいはSchwann(シュワン)細胞に対する自己免疫性機序により脱髄をきたすことが推定されているが,詳細な病態機序は不明である.CIDPは臨床病型に分類されており,複数の病態を含む症候群である.
両側対称性で近位筋と遠位筋が同様に障害される典型的CIDPと,遠位優位型あるいは多発単ニューロパチーを呈する非典型的CIDPに分類されている.約60%は典型的CIDPである.
▼疫学
わが国における有病率は10万人あたり約2人であり,推定国内患者数は約2,000人.あらゆる年齢層に発症し,男性にやや多い.
▼診断
2か月以上進行する先行感染後1~2週で急性に発症する多発ニューロパチーであり,四肢の筋力低下と感覚障害が主症状である.脳神経障害・自律神経障害をきたすことはまれである.脱髄所見を確認すること,および他疾患の除外により診断される.
末梢神経伝導検査で神経伝導速度低下,伝導ブロックなどの脱髄を示す所見が認められる.脳脊髄液検査で蛋白細胞解離(蛋白上昇・細胞数正常)が認められる.末梢神経MRI・超音波検査で神経根・神経幹の神経肥厚が認められる.神経生検の診断感度,特異性は低いため施行されることは少ない.
▼治療
典型的CIDPでは副腎皮質ステロイド療法,免疫グロブリン静注療法,血漿交換療法の有効性が証明されており,この3つから患者背景に応じ
関連リンク
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