診療支援
治療

5 家族性アミロイドニューロパチー
familial amyloidotic neuropathy(FAP)
安東 由喜雄
(長崎国際大学・学長)

▼定義

 線維状構造をもつアミロイドが種々の臓器の細胞外に沈着し,機能障害を引き起こす全身性アミロイドーシスに分類され,末梢神経障害を主体とした全身性の疾患である.

▼病態

 本症では自律神経障害が初発症状となることも多く,起立性低血圧による失神や,便秘,下痢,悪心などの消化器症状,発汗障害,男性では勃起障害がみられる.感覚障害としては,一般に小径線維ニューロパチーのパターンをとり,温痛覚障害が先行し解離性感覚障害がみられるが,手根管症候群で発症する例もある.運動神経障害は感覚障害より2~3年遅れて出現する場合が多い.これらの障害に加え,心伝導障害や,心不全,腎機能障害,硝子体混濁,交代性下痢・便秘,緑内障などが認められる.トランスサイレチン(TTR)遺伝子の点変異や欠失により,異型TTRが産生され,それにより四量体の構造が不安定になり,TTRのミスフォールディングが起こり組織沈着アミロイドが形

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