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治療

3 群発頭痛
cluster headache
竹島 多賀夫
(富永病院・副院長(脳神経内科))

▼定義

 群発頭痛は厳密に一側性の重度の頭痛発作が眼窩部,眼窩上部,側頭部のいずれか1つ以上の部位に発現し,15~180分間持続する.頭痛と同側の結膜充血流涙,鼻閉,鼻漏などの自律神経症状を伴う.

▼病態

 群発頭痛を含む三叉神経・自律神経性頭痛の病態は,視床下部の異常を起源とする説,ニューロペプチドなどの変化より,三叉神経と血管との関係から説明しようとする説,内頸動脈の周囲に起源を求める説,三叉神経の過剰興奮が副交感神経の活性化を起こすとする説などがある.

▼疫学

 群発頭痛の有病率は10万人あたり56~401人とされている.群発頭痛の発症年齢は通常20~40歳代で,男性に多いが,近年女性の群発頭痛患者が増加している.

▼分類

 国際頭痛分類第3版では,群発頭痛とその類縁疾患を三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)としてまとめ,表10-57のごとく分類している.頭痛の持続時間が各疾患で異なっている.

▼診断

 群発頭痛の診断基準については表10-58に示した.

▼治療

 群発頭痛発作時にはスマトリプタンの皮下注射が有効である.高濃度酸素吸入(7~10L/分,15分間)も有用である.群発期の予防療法としてプレドニゾロン,ベラパミルが有効.

▼予後

 1~2年に1回,1~数か月の群発発作を繰り返す.約15%が1年以上群発期が続く慢性群発頭痛に移行する.加齢とともに群発期が消失する例が多いが,高齢の患者も存在する.

▼特殊な病型

 慢性発作性片側頭痛,持続性片側頭痛はインドメタシンにより頭痛が完全に消失することが特徴である.

参考文献

1)日本神経学会,日本頭痛学会(監修),慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会(編):慢性頭痛の診療ガイドライン 2013.医学書院,pp2-303,2013

2)日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会(訳):国際頭痛分類第3版.医学書院,2018

3)特集 頭痛診療─基礎・臨床の最

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