診療支援
治療

4 むずむず脚症候群(下肢静止不能症候群)
restless legs syndrome(RLS)
林 理之
(はやし神経内科・院長)

疾患を疑うポイント

●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症しうる.

●下肢を動かさないではいられなくなる欲求が,通常は下肢の不快な異常感覚を伴って現れる.

学びのポイント

●疾患頻度からみるとcommon diseaseであるが,下肢の不快な感覚症状が多様であるため,見過ごされたり,整形外科疾患と思われたりしていることが多いといわれている.睡眠障害を主訴に受診することがある.

▼定義

 restless legs syndrome(RLS)の正式な日本語訳は下肢静止不能症候群であり,むずむず脚症候群は通称である.

▼疫学

 有病率は欧米で4~15%,わが国で1~4%とする報告が多い.わが国では女性に多く,高齢者で少ないとされている.

▼病態

‍ 概日リズムに関連した中枢ドパミン系機能の低下が病態生理であると考えられている.脳の鉄利用障害がそれを悪化させているといわれている.また,脊髄そのものも,この病態に関連しているといわれている.脊髄の交感神経節前ニューロンに投射する中枢下行路,求心性神経にかかわる脊髄後角領域,介在ニューロンと体性運動ニューロンの機能障害がRLSとそれに密接に関連する(睡眠時)周期性四肢運動〔periodic limb movement(in sleep)〕の病態に関与しているとされている.RLSによって生じる睡眠障害が生活上の問題になることも多いので,睡眠障害の視点からも診療する必要がある.

▼診断

 RLSの診断基準は以下の4つである.①脚を動かしたいという強い欲求があり,通常はその欲求が不快な下肢の異常感覚に伴って生じる.②静かに横になったり座ったりしている状態で出現したり,増悪する.③歩いたり,下肢を伸ばすなどの運動によって改善する.④日中よりも夕方や夜間に増強する.

下肢の不快な感覚症状

 この症状は,個体差が大きいうえに言語で表現するときの個人差が大きいことを理解してお

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?