診療支援
治療

2 敗血症
sepsis
古川 恵一
(国保旭中央病院・感染症センター・センター長)

▼定義

 2016年に欧米の集中治療学会により改定された新しい敗血症の定義では,敗血症とは感染症があり,それに対する生体反応が制御できず,生命にかかわる臓器障害が起こっている状態である.これは以前の定義の重症敗血症に相当し,成人に適用される.

▼病態

 敗血症は感染による炎症性メディエーターが血流に入って全身に広がり,全身的な過大反応が起こった状態である.敗血症の病態は,侵襲性の細菌感染,トキシン,大量の炎症性メディエーター,補体活性化,遺伝的素因などが関与して起こる.

病態機序

1)細菌の要因

 細菌の細胞壁構成物〔エンドトキシン(内毒素),ペプチドグリカン〕などと細菌が産生する外毒素(staphylococcal enterotoxin B,toxic shock syndrome toxin-1,streptococcal pyrogenic exotoxin AおよびBなど)が局所感染から敗

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