▼病原菌
嫌気性グラム陽性桿菌であるアクチノマイセス属の病原体が本症の原因菌となる.最も病原性が高いのはActinomyces israeliiで,報告例のうち多数を占めているが,その他にA. odontolyticus,A. viscosus,A. naeslundii,A. gerencseriaeなどがヒトへの病原性を示しうることが報告されている.
▼疫学
本菌はヒトの口腔,咽頭,腸管,尿路生殖器系などの粘膜表面における常在細菌叢の構成菌種であり,発症に特に地域的な偏りはない.男性の発症例が多く,免疫不全の存在がリスクファクターとなるが,健常人における発症例も少なくない.一方では誤嚥,抜歯,異物の存在,ドレナージ不全などの局所的な問題が発症の重要な誘因となる場合が多い.
▼病態
亜急性~慢性的に進展する局所の膿瘍形成~肉芽腫性の炎症が本症の本体である.罹患部位としては頭頸部領域が最も高