疾患を疑うポイント
●発熱,不機嫌,元気がない,腹部膨満などの非特異的な症状を示すことが多い.
●特徴的な症状に乏しく,「いつもと様子が違う」という家族の訴えも重要な所見である.
●大泉門の膨隆は髄膜炎にしばしばみられる.
▼定義
出生から生後28日未満の新生児期に発症する感染症.ウイルス,クラミジアの母子感染症もみられるが,本項では細菌による敗血症,髄膜炎について概説する.
▼病態
母親の胎内から出産して早期の感染症であるので,いくつか特徴がある.母児間の垂直感染や産道感染が多い.新生児は細胞性,液性免疫ともに免疫力が未熟なので,特に早産児は重症化しやすい.出産と関連して下部腸管や産道の微生物感染症が多く,大腸菌やB群連鎖球菌が主要菌である.ウイルス,クラミジアの感染症に比べて,細菌による敗血症,髄膜炎はより重症であり,対応が遅れると予後不良である.
▼疫学
新生児期の原因菌は,大腸菌などの腸内細菌やB群連鎖球菌が主流であり,まれに黄色ブドウ球菌やリステリアが原因となる.乳児期以降はインフルエンザ菌や肺炎球菌が主流であったが,Hibワクチンや結合型肺炎球菌ワクチン薬の影響でインフルエンザ菌や肺炎球菌による髄膜炎は激減している.
▼分類
血液培養陽性であれば敗血症,髄液培養陽性であれば髄膜炎とよぶ.細菌性髄膜炎は,ほぼ全例敗血症を伴っている.
▼診断
新生児は,自ら症状を訴えることはなく特徴的な症状に乏しいために発見が遅れる傾向がある.「いつもと様子が違う」という家族の訴えも重要な所見である.病巣がいずれであっても,発熱,不機嫌,元気がない,嘔吐,腹部膨満などの非特異的な症状を示すことが多い.髄膜炎では,しばしば意識障害やけいれんを伴う.新生児期の感染症は重症化しやすいので,細菌感染症を疑えば尿培養,血液培養と必要に応じて腰椎穿刺をして髄液培養を行う.細菌培養を行う前に抗菌薬が投与されてい
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