診療支援
治療

2 アスペルギルス症
aspergillosis
泉川 公一
(長崎大学大学院教授・臨床感染症学)

疾患を疑うポイント

●免疫不全の程度や,基礎疾患に応じて異なる病型をとる日和見感染症.

●好中球減少患者や,陳旧性肺結核,COPD,気管支拡張症のような呼吸器の器質的疾患を有する患者で,一般抗菌薬が無効な感染徴候がある場合は疑う必要がある.

学びのポイント

●移植,再生医療,化学療法の進化に伴い,免疫不全患者が増加し,それに伴い,本症も増加している.

●好中球が免疫担当細胞であり,血液悪性腫瘍患者では,侵襲性アスペルギルス症を呈する.

●抗真菌薬で治療しても難治性であり,今後も増加する可能性がある.

▼定義・概念

 糸状菌のアスペルギルス属菌による感染症である.原因菌としてAspergillus fumigatusが最も多いが,A. flavusA. nigerA. terreusA. nidulansなどがある.いずれも自然環境中に存在しており,分生子の吸入により人に感染し,宿主の基礎疾患や免疫状

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