疾患を疑うポイント
●好発部位と好発年齢が異なる病像がある.
●HSVによる初感染として新生児ヘルペスや小児に多いヘルペス性歯肉口内炎,成人では性器ヘルペス,再発型として口唇ヘルペス,性器ヘルペスなどがある.
学びのポイント
●初感染によって引き起こされる病態と再活性化する病態とに大別される.
●初感染では,新生児に発症する予後不良な新生児ヘルペス,乳幼児ではヘルペス性歯肉口内炎,成人では性器ヘルペスなど年齢・部位により症状が異なる.再発型では,口唇ヘルペス,性器ヘルペスの病像を呈することが多い.
▼定義
ヘルペスとは「疱疹」ともよばれ,小水疱が集まった状態をさす.ヒトに感染するヘルペスウイルスを表11-17図に示す.HSVはαヘルペスウイルス亜科に属し,単純ヘルペスウイルス1型(herpes simplex virus type 1:HSV-1),単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)に分類される〔第10章「単純ヘルペス脳炎」の項(→)も参照〕.
▼病態
初感染では,発熱,水疱を生じるが,不顕性感染も多い.初感染後,ウイルスゲノムは三叉神経節や仙髄神経節に潜伏する.ストレス,紫外線,疲労など種々の誘因で,症候性あるいは無症候性に再活性化される(回帰発症,再発).回帰発症も水疱となるが,無症状でHSVを排泄していることもある.
日常臨床では,初感染と回帰発症の鑑別は困難である.急性期HSV-IgG抗体の有無で推測できるが,IgM抗体は初感染および再発,ともに陽性となる.
▼疫学
HSV-1の感染は小児期に多く,成人の抗体保有率は先進国で約70%,発展途上国で100%となる.HSV-2の抗体保有率は,性行動に関連し,思春期に上昇する.海外の抗体陽性率は妊婦で7~40%,HIV感染者や風俗従業員は60~95%に達する.
日本では,性器ヘルペスウイルス感染症は感染症法で五類感染症・定点把握疾患
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