診療支援
治療

6 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ,ムンプス)
epidemic parotitis(mumps)
岩田 敏
(国立がん研究センター中央病院・感染症部感染症部長)

疾患を疑うポイント

●耳下腺,顎下腺などの唾液腺の腫脹,疼痛がみられる.

●流行性耳下腺炎患者との接触歴,周囲での流行がある.

学びのポイント

●ムンプスウイルスの飛沫感染,接触感染により起こる感染症で,耳下腺や顎下腺などの唾液腺の腫脹・疼痛と発熱が特徴.

●合併症として無菌性髄膜炎,難聴が重要である.無菌性髄膜炎の頻度は1~10%である.難聴の頻度は0.1~0.2%であり,発症した場合,多くは片側性,まれに両側性の不可逆的な難聴となるため,注意が必要である.

▼定義

‍ ムンプスウイルスの飛沫感染,接触感染により起こる感染症で,耳下腺や顎下腺などの唾液腺の腫脹・疼痛,発熱を特徴とする.

▼病態

 ムンプスウイルスはパラミクソウイルス科ルブラウイルス属のRNAウイルスである.

 体内に侵入したウイルスが上気道粘膜およびリンパ節で増殖し,ウイルス血症を起こして耳下腺,髄腔など全身に広がる.潜伏期間は通常16~1

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