診療支援
治療

(2)急性好酸球性肺炎
acute eosinophilic pneumonia(AEP)
大森 隆
(近畿大学・呼吸器・アレルギー内科)
東田 有智
(近畿大学教授・呼吸器・アレルギー内科)

疾患を疑うポイント

●比較的若年者.

●喫煙との関連.

●急性発症.

●末梢血好酸球増加はないかあっても軽度.

●さまざまな肺の陰影.

▼定義

 1週間以内で急速に呼吸困難が出現する.原因不明の好酸球の肺組織への浸潤をみるもの〔第2章のも参照〕.

▼病態

 血中IgE高値を示す症例がありⅠ型アレルギーの関与や薬剤が原因の場合,薬剤誘発性リンパ球刺激試験(drug induced lymphocyte stimulation test:DLST)が陽性となることもありⅣ型アレルギーの関与が示唆される.

▼疫学

 10歳代後半~40歳代に多く,やや男性に多い.本邦では喫煙と関連した症例が多数報告されており,喫煙を契機に発症,また,通常は再発することはないが喫煙を契機に再燃したとの報告がある.

▼診断(表12-26)

 喫煙状況・薬剤の使用など問診が大切である.

血液検査

 発症早期には好中球の増加を認め好酸球の増加はあっても軽微である.

 回復期に一過性に好酸球の増多を認めることがある.

 総非特異的IgE高値を示すことがある.

胸部X線

 両側びまん性の網状陰影やすりガラス陰影と浸潤陰影の混在を認める.Kerley(カーリー)A・B lineや胸水を認めることもある.

胸部CT

 両側にすりガラス陰影や浸潤陰影の混在や小葉間隔壁や気管支血管束の肥厚を認める.

BALF

 好酸球数25%以上と増加を認める.

病理組織

 急性期においては,肺胞隔壁に好酸球とリンパ球の浸潤を伴い浮腫状で血管周囲組織の浮腫も著明に認める.肺胞隔壁はⅡ型上皮細胞が剝離している.肺胞腔内にフィブリンが析出している.回復期においてはⅡ型上皮細胞の過形成を著明に認める.慢性好酸球性肺炎と異なり肺胞腔内の線維化はほとんど認められない.

▼治療

 まずは喫煙や原因と疑われる薬剤の中止を行う.軽症の場合中止だけで軽快することもある.中止による改善がない

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