診療支援
治療

3 全身性エリテマトーデス
systemic lupus erythematosus(SLE)
渥美 達也
(北海道大学大学院教授・免疫・代謝内科学)

疾患を疑うポイント

●皮疹を含む多臓器組織に炎症性病変をきたす代表的な全身性自己免疫疾患である.

学びのポイント

●SLEの基本的な病態は,自己免疫現象による急性かつ/または慢性の炎症や組織障害.

●SLEによって侵される臓器は全身に及ぶが,ループス腎炎と精神神経ループスが最も重要な臓器病変.

●抗二本鎖DNA抗体を代表とする多彩な自己抗体が血中に出現し,疾患マーカーとなる.

●薬物治療は,ステロイドおよび免疫抑制薬によって行われる.

▼定義

 全身性自己免疫疾患のプロトタイプであり,多様な臨床症状が出現する症候群.

▼病態

 SLEには複数の疾患感受性遺伝子が同定されている.遺伝要因に,喫煙,感染,性ホルモン,紫外線などの環境因子が加わって発症する.病態の基本は,B細胞活性化を伴う自己免疫現象である.自己抗原を認識するT細胞やB細胞が寛容を維持できず,炎症や組織障害を起こす.自己抗体が自己抗原と結合して免疫

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