疾患を疑うポイント
●皮疹を含む多臓器組織に炎症性病変をきたす代表的な全身性自己免疫疾患である.
学びのポイント
●SLEの基本的な病態は,自己免疫現象による急性かつ/または慢性の炎症や組織障害.
●SLEによって侵される臓器は全身に及ぶが,ループス腎炎と精神神経ループスが最も重要な臓器病変.
●抗二本鎖DNA抗体を代表とする多彩な自己抗体が血中に出現し,疾患マーカーとなる.
●薬物治療は,ステロイドおよび免疫抑制薬によって行われる.
▼定義
全身性自己免疫疾患のプロトタイプであり,多様な臨床症状が出現する症候群.
▼病態
SLEには複数の疾患感受性遺伝子が同定されている.遺伝要因に,喫煙,感染,性ホルモン,紫外線などの環境因子が加わって発症する.病態の基本は,B細胞活性化を伴う自己免疫現象である.自己抗原を認識するT細胞やB細胞が寛容を維持できず,炎症や組織障害を起こす.自己抗体が自己抗原と結合して免疫複合体が形成され,組織に沈着して補体系の活性化などを介して炎症が惹起され持続する.
▼疫学
日本人では10万人あたり100人と推定される.女性が90%,20~40歳代が好発年齢である.
▼診断
特徴的な臨床症状と血清検査異常があれば,診断は難しくない.
➊全身症状
高熱はSLEの全身症状の特徴である.
➋皮膚症状
両側頰部に存在し,鼻梁を越えて連続した左右対称の浮腫状の紅斑が蝶形紅斑(malar rash)とよばれるSLEを代表する皮疹である.また,円板状紅斑は顔面,体幹,四肢,手掌,足底などに出現する特異疹である.その他,爪周囲と手掌の紅斑,日光過敏,脱毛,凍瘡様皮疹などが特徴的である.粘膜症状として頻度の高いものに口腔潰瘍がある.
➌関節症状
急性または慢性の関節炎を呈し,初発症状の場合は関節リウマチとの鑑別を要することがある.骨の破壊を伴わないが軟部組織の障害によって変形をきたすことがあり,J
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