診療支援
治療

(1)結節性多発動脈炎
polyarteritis nodosa(PAN)
駒形 嘉紀
(杏林大学教授・腎臓・リウマチ膠原病内科)

▼定義

 2012年に血管炎を再定義するChapel Hill国際会議が開かれ,「中小動脈の壊死性血管炎で,細動脈・毛細血管・細静脈の血管炎を伴わず,抗好中球細胞質抗体 (anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)と関連のない疾患」と定義された〔第9章のも参照〕.

▼病態

 ほかの小型血管炎の一部にみられるANCAが本症においては陰性であり,病因についてはほとんどわかっていない.しかし,B型肝炎ウイルス感染後にHB抗原とそれに対する抗体の免疫複合体が血管に沈着することで類似の病態が出現することから,ウイルス感染などを契機に補体の活性化を通して血管壁の透過性の亢進が起こり,そのため血管中膜への免疫複合体の沈着やフィブリノイド壊死をきたすのではないかと考えられている.病理組織学的には,中小動脈の血管炎がみられ細動脈,細静脈,毛細血管は罹患しないことが特徴で

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