診療支援
治療

2 乾癬性関節炎
psoriatic arthritis
藤本 学
(大阪大学大学院教授・皮膚科学)

▼定義

 皮膚の炎症性角化症である乾癬に伴う関節炎である.

▼病態

 遺伝的素因を有し,ヒト白血球抗原クラスIが発症に相関する.

 基本病態は付着部炎で,Tリンパ球,樹状細胞,マクロファージなどの炎症細胞とこれらの産生するTNF-α,インターロイキン(IL)-17,IL-23などの炎症性サイトカインが関与している.

 体軸関節病変・末梢関節病変のいずれも認められうるが,末梢関節病変が多い

▼疫学

 世界全体では乾癬患者は人口の約3%を占めるが,わが国では約0.3%と少なく,男女比はほぼ1:1である.乾癬性関節炎は,わが国では乾癬患者の約15%にみられ,男性にやや多い.皮膚症状が数年から10年以上先行することが多く,関節炎の発症は40歳代にピークがある.

▼分類

 以下の5型に分類される(Moll & Wright分類).

少関節炎型(70%)

 4関節以下の非対称性末梢性関節炎.

多関節炎型(15%)

 5関節以上に及ぶしばしば対称性の末梢関節炎で,関節リウマチに類似する.

強直性脊椎炎型(5%)

 仙腸関節や脊椎などの体軸関節が主体の関節炎.

破壊関節炎(ムチランス)型(5%)

 短期間に進行し,顕著な末梢関節変形をきたす.

遠位関節炎型(5%)

 遠位指節間(distal interphalangeal:DIP)関節の腫脹や疼痛.

 わが国では少関節炎型と多関節炎型が多く,遠位関節炎型がそれに次ぐ.

▼診断

 CASPAR (Classification Criteria for Psoriatic Arthritis)の診断基準を参考とする.ほかの疾患を除外した炎症性関節炎に加え,現在乾癬の皮疹があれば2点,乾癬の既往か家族歴があれば1点,リウマトイド因子陰性,乾癬に典型的な爪の変化,指趾炎,X線上の関節周囲の骨新生をそれぞれ1点とし,合計3点以上を満たせば診断する.

乾癬の皮疹

 銀白色の鱗屑を

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