診療支援
治療

4 腸炎性関節炎
enteropathic arthritis
渡辺 浩志
(福島県立医科大学教授・リウマチ膠原病内科学)

▼定義

 潰瘍性大腸炎やCrohn(クローン)病などの炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)に合併する関節炎であり,血清反応陰性脊椎関節炎に分類される.

▼病態

 腸管からのリンパ球が関節滑膜へ移動し,炎症を惹起する機序が考えられている.また,腸炎により破綻した腸管粘膜から侵入した細菌由来抗原の発症への関与も推察されている.

▼疫学

‍ IBD患者全体の17~39%に合併する

▼分類

 末梢関節炎と体軸関節炎(脊椎炎・仙腸関節炎)に大別される.末梢関節炎は,さらに少関節炎型(罹患関節5か所未満)と多関節炎型(罹患関節5か所以上)に分類される.

▼診断

 欧米では,特に軸関節炎を呈する患者の約半数にHLA-B27が陽性であるが,わが国の陽性率は低く,特異的な血清マーカーも存在しない.

 末梢関節炎の場合,単純X線で異常を認めることは少なく,臨床症状から診断へアプローチする

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?