▼定義
潰瘍性大腸炎やCrohn(クローン)病などの炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)に合併する関節炎であり,血清反応陰性脊椎関節炎に分類される.
▼病態
腸管からのリンパ球が関節滑膜へ移動し,炎症を惹起する機序が考えられている.また,腸炎により破綻した腸管粘膜から侵入した細菌由来抗原の発症への関与も推察されている.
▼疫学
IBD患者全体の17~39%に合併する.
▼分類
末梢関節炎と体軸関節炎(脊椎炎・仙腸関節炎)に大別される.末梢関節炎は,さらに少関節炎型(罹患関節5か所未満)と多関節炎型(罹患関節5か所以上)に分類される.
▼診断
欧米では,特に軸関節炎を呈する患者の約半数にHLA-B27が陽性であるが,わが国の陽性率は低く,特異的な血清マーカーも存在しない.
末梢関節炎の場合,単純X線で異常を認めることは少なく,臨床症状から診断へアプローチする.少関節炎型では,関節炎は非対称性かつ移動性であり,下肢大関節(特に膝)に多くみられる.発症は急激ではあるが10週未満で自然軽快し,約90%はIBDの活動性と関連する.一方,多関節炎型では,関節炎は対称性で小関節に多くみられる.症状は平均で3年間持続し,30~40%がIBDの活動性と関連する.
体軸関節炎は,強直性脊椎炎と,孤発性仙腸関節炎(強直性脊椎炎に伴わない仙腸関節炎)が含まれ,IBDの活動性と関連しない.単純X線検査では,仙腸骨の硬化像・骨びらんを呈するが,早期病変に関しては感度が低い.MRIは無症候性の仙腸関節炎も検出可能であり,最も有用である.
▼治療
サラゾスルファピリジン薬は,腸炎のみならず関節炎にも有効である.効果不十分の場合,メトトレキサート薬を追加する.軸関節炎の場合はメトトレキサートを第一選択薬として使用する.重症例では抗TNF製剤(インフリキシマブ薬,アダリムマブ薬
関連リンク
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