診療支援
治療

1 再発性多発軟骨炎
relapsing polychondritis
吉藤 元
(京都大学大学院病院講師・臨床免疫学)

疾患を疑うポイント

●初発症状は耳介の疼痛・発赤が多い.

●耳垂(=無軟骨部)を侵さないため,凍瘡と鑑別できる.

▼定義

 軟骨成分を標的とする特発性炎症性疾患である.多彩な症状(図13-18a)をきたし,副腎皮質ステロイドが有効であるが再燃を繰り返すことが多い.進行すると器官の変形と機能障害をきたし,特に気道病変や心血管病変を伴う例は呼吸障害をきたし予後不良である.

▼病態

 一部の例で,Ⅱ型コラーゲンやマトリリン-1などの細胞外マトリックス成分に対する自己抗体がみられる.耳・鼻・気管・関節などの軟骨のみならず眼・内耳・心血管などが侵されるのは,これらの器官が軟骨と共通の成分を含有するためと推測される.初期には局所の疼痛や腫脹が反復して出現し,進行すると耳鼻の変形,呼吸障害,視聴力障害などをきたす.

▼疫学

 2016年度の特定医療費受給者証保持者数は484人であった.性差はなく,平均発症年齢は40~50歳代とされる.

▼診断

 診断基準を図13-18bに示す.McAdamが6主徴の3つ以上による診断を提案し,DamianiおよびMichetはそれを修正したものを考案した.確定診断は病理学的に行う.有症期の罹患軟骨の生検により,軟骨周囲からの炎症細胞浸潤,軟骨の変性(好塩基性の喪失)および破壊を認める.頭蓋部・下気道・肋軟骨などの精査にはCT・MRI・PETなどの画像検査を行う.気道病変の進行例でみられる気管支軟化症では,呼気時に気道が虚脱する(図13-19)ため,CTは吸気時のみならず呼気時にも撮影する必要があり,呼吸機能検査における1秒率低下が特徴である.血液検査では,CRP・赤沈が活動期に上昇し,約1/3の例に抗Ⅱ型コラーゲン抗体を認め,病勢との相関が報告されている.

▼治療・予後

‍ 副腎皮質ステロイドが標準治療薬であるが,再燃が問題となる.難治例または気道病変を伴う例では,メトト

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